本が好きというだけでは志望動機にならない
本を作る人になりたい、という思いは、小学生の頃から持ち続けていた。常に本を持ち歩き、ときには自分で小説を書いてみることもあった。気付いた時から私は本が好きで、本を作る人間になりたいと思うのは、ごく自然なことだったように思う。3月に集英社の面接1週間で不合格の通知
集英社の面接は3月に行われた。面接は年明け前に軽い気持ちで受けたテレビ局で3回経験していたが、とても面接に慣れているとは言いがたい状況だった。そこでは何を伝える本が作りたいのかなどを聞かれた。私はマイノリティが「自分だけじゃなかったんだ」と思えるような、個人に寄り添える本を作りたい、と答えた。しかし話は広がらず、まさに一問一答のような味気ない面接に終わり、その1週間後に不合格の連絡が来た。講談社の面接で頭が真っ白に
そんな風にしてかろうじて自分を保っていた私は、ESと筆記試験を通過した後の面接で何度も失敗を繰り返した。講談社の1次面接で、好きな雑誌について話した後、「もう1つ好きな雑誌をあげるとすれば何?」と聞かれ、頭が真っ白になった。想定していなかった質問が来ることは、出版社に限らず就活をしていれば避けられない。そのことをしっかり理解していれば、答えをあらかじめ作っておくという面接対策の危うさに気づくことができる。「面接は対話だ」とよく言われるが、これはまさにその通りだと思った。周りの人とたくさん話す就活を
私は全く優秀な学生ではなかったし、本は好きだけれど誰よりも読んでいるというわけでもなく、もちろん見ず知らずの面接官の前で器用に話せるようなタイプでもなかった。しかし、だからこそ私は周りの優秀な人とたくさん話す就活をした。自分よりも高いレベルの人と一緒にいることは苦しかったけれど、知らないステージを見られることは本当に刺激的だった。