今年も2000年も12月から民放アナウンサーの募集が始まることは確実だが、その前哨戦ともいうべき動きがいろいろ始まっている。ひとつは各局のアナウンスセミナーだが、昨年のテレ朝に続いて今年はTBSも本格的にスクールを立ち上げるなど民放はいずれも力を入れている。こうした局関連のセミナーだが、毎年、採用との関係はどうかと志望者の関心を呼び、様々な噂が乱れ飛ぶ。人事部主導ではないから、採用直結ではないのだが、なぜ噂が乱れ飛ぶかというと、直結ではないにせよ、緩い形でリンクはしているからである。
ただ、これは一時マスコミで一般的だった「青田買い」、つまり選考そのものを前倒しで行うということとは違うので注意してほしい。従来の青田買いというのは、人事部主導で、セミナーといっても選考そのものだったわけだ。当然ながら選ばれた者はゴール(内定)まで進んだ。現在のセミナーの場合は、目をつけられた者に様々な便宜は図られるが、一般受験者と同じように正規の試験を受けてパスしないといけないわけだ。ただ、セミナーで目をつけられる人は、当然有望な人だから、そういう人から内定が出る可能性は少なくない。結果的にそういう受講者から内定を得た者が多くなるので、採用と関係があるという噂が流れやすいわけだ。 本格的にアナウンサーをめざすなら、力試しのためにもセミナーに応募するのはお薦めしたい。ただ、採用との関係については、上記のように、選考との違いと関連を正しく理解してほしい。時々「セミナーは選考で内定枠は埋まってしまう」とか極端な噂が平気で流れたりするので要注意である。 以上のことを踏まえたうえで、実際にアナウンスセミナーの裏側でどんなことが行われているか、昨年の実態をお伝えしよう。ここに書いてあるのは全て真実だが、これさえもほとんど知られていない話。こういう実態があるために、青田買いの噂がたちやすいわけである。 なお、各社主催のアナウンススクールについては『マス読』1巻(P160〜)でも解説しているので参照してほしい。 〈アナウンスセミナーの実態(99年のケース)〉 ●日本テレビアナウンスフォーラム (2日間のコースで10月11・12日、13・14日に開催)エントリーは9月13日締切だった。書類選考、面接を経て参加者が決定。
さて、以上のプロセスはオープンにされていることだが、裏情報に強い「マス読」の場合、ここまででは終わらない。以下は一部の受講者にしか知られていない情報である。 昨年の場合、このフォーラム参加者のうち目をつけられた者には後日連絡、約10人(うち男性2人)が参加して「上級セミナー」が開かれた。回数は3回くらい。内容は例えばパン食い競争や卵割りを実際にやり、1人が実況中継をするなど。作った自分ではなく、素のままの個性を見るためのものだったようだ。この上級セミナーには日テレの氏家社長も参加。社長をまじえての食事会も開かれた。 ●TBSアナウンスセミナー (9月24〜26日のうちいずれか1日) 内容は 以下は知られていない情報だが、昨年の場合、参加者のうち約20人(男性は6人)に呼び出しがかかり、セミナーの上級編が開かれた(10月17日)。 (1)カメラ実習(原稿読み、モニター実況)、いずれも初見で (1)(2)はカメラで撮られていて、(3)の際に(1)のビデオがまず再生される。5〜6人がそれを見ながらチェックをつけていた。講評は「花まるマーケット」司会の斎藤哲也アナなど数人が務め、ビデオを見ながらチェックをつけていた5〜6人は講評はしない。 セミナー上級編の参加者にはあるアナから毎週のようにメールが届いた。「君はアナウンス部がおしているから頑張って」「何かあったら相談にのるよ」といった内容。ちなみに本試験で内定した男性のうち1人は上級セミナー参加者。最終面接に進んだ女性2人のうち1人も上級セミナー参加者。ただし内定ではなかった。 なお昨年は12月11日に「TBSアナウンス・シンポジウム」と称してセミナーが行われた。9月のセミナーに参加した者はこれには応募できなかった。告知では「前回の講座には秋のシーズン中の為、体育会系のクラブ活動等で参加できなかった方、大歓迎です」とうたっているが、特に体育会系のアナを求めていたらしい。実際、男性内定者の1人は体育会系だ(ただし彼が12月のアナウンス・シンポジウムに参加していたかどうかは定かでない)。 なお2000年は9月のセミナーは行わず、12月のみの開催予定。募集要項は近日HPで発表。 ●フジテレビお台場アナウンススクール (9月上旬) この参加者で目がつけられた者15〜20人には声がかかり、上級セミナーが(有料)。 |