マスコミ就職Q&A (3)マスコミの試験・選考について

Q35 最終面接で2度落ちたが、また秋採用を受けるべきか
Q36 筆記試験はどのくらいできれば合格か?
Q37 ズバリ、マスコミの筆記対策を教えてください
Q38 広告会社のクリエイティブ職の受験資格は?
Q39 エントリーシートの「最近読んだ本」は受験する出版社の本を書くべき?
Q40 年齢制限はどのくらい厳しく見られるのか?
Q41 試験日が重なった時はどうすれば良いの?
Q42 「補欠内定」という連絡を受けたが……て
Q43 SPI対策と文春の「大物寸評」対策を教えてください
Q44 過去問をどうやって入手すればよいのか?
Q45 出身地でない地方局を受ける時、なぜその局を志望するのかどう説明したらよいか?
Q46 論文と作文の違いは?
Q47 面接で「御社」「貴社」は使わないといけないの?
Q48 論文対策の練習のお題は何がよいか?
Q49 内定企業への就職か、マスコミ就職浪人か?
Q50 障害者の程度と履歴書の誤字
Q51 テレビ局の面接対策は?
Q52 レコード会社の倍率、選考基準は?
Q53 新聞社の英語試験対策は?
Q54 新聞社とNHKの日程が重なった場合どうすれば?
Q55 新聞社の最終面接で×。どうすれば?
Q56 大学院生ですが、秋受けるべきか?春まで待った方かいいか?



Q) 私は去年毎日新聞社の採用試験を受け、最終面接で不合格となりました。しかし記者への夢を捨てきれず就職浪人をして、今年もう一度同じ毎日新聞社の採用試験を受けました。再び最終面接まで残ったものの、またも不合格となりました。面接まで進んで一度不合格となった者は二度と採用しないという噂がありますが、本当なのでしょうか? 仮に嘘だとすると、今年の秋採用にも再びチャレンジすべきでしょうか?

A) 秋採用はもちろんチャレンジすべきです。選考というのは基本的に相対評価で、上から採用予定人数まで何人を合格とする、という判定の仕方になります。だから君の場合は、むしろ前回惜敗しているわけですから、筆記で落ちた人よりも合格の可能性があると考えるべきです。  しかも毎日新聞社で最終まで行ったということは他社でも通用する実力があるということですから、他社にもチャレンジしてはどうでしょうか。君は恐らく毎日新聞社が第一志望なのかなと思いますが、受けるだけなら他社も受けることを勧めます。最終的にどこへ行くにせよ、自分の進路を考える際の判断材料になりますから。
 と書いた後で、君が書いた噂についてコメントしますと、ちょっと気になるのが、君が2度「最終で」落ちていることです。春採用で面接で落ちて秋採用合格はいくらでもいるし、筆記や1次面接敗退者の場合は、選考で前回と照合もしないのでほとんど関係ないのですが、最終の場合は、面接官の顔ぶれがほぼ同じですから、恐らく君のことを面接官は覚えていると思います。
 で、気になるというのは、前回君がどういう判定で落ちているかです。前述したように単純に相対評価で予定人数に入らなかった場合は問題ないのですが、面接官の誰かが何か理由を示して君に×をつけた場合は、その人はまた同じ判定をすることになります。ですから、前回落ちた人は必ず落ちるということは全くないのですが、前回どういう事情で落ちたかは関係がある場合もあるのです。  ただ、それは詮索していてもしかたないし、君の場合は相対評価で次点で落ちたと信じるしかないでしょう。

 前述したように毎日新聞社に思い入れを持っている人というのはジャーナリズム志向の強い人が多く、採用側もそれは評価します。だから可能性としては、君の熱い志望意思はプラスに作用する確率の方が高いはずです。就職浪人をしてまで記者をめざしているのなら、余計な噂に惑わされることなく、可能性があればすべからくチャレンジすべきです。  これは朝日の例ですが、以前秋採用で「これは優秀だ」と高い評価で内定を得た女子受験者がいて、その女性が春採用で1次面接で落ちていたのが後でわかってちょっと内部で問題になったことがあります。採用の責任者が「いったい誰が春採用で彼女を落としたのか」と言ってました。つまり、そんな優秀な人でも面接官との相性からか面接で落ちてしまうことがある、ということです。  まあ、実は選考とはそういうものなのです。今の選考のシステムが万全ではありませんから、運不運で合否が分かれることはいくらでもあります。ですから、君だって、前回はたまたま運が悪くて落ちた可能性も大なのです。そんなふうに前向きに考えてがんばって下さい。


Q) 筆記試験は大体どのくらい点がとれれば合格なのでしょうか。また実際に試験に出た過去の問題を入手するにはどうしたらよいのでしょうか。

A) 一般的にいうと筆記の合格ラインは6~7割といわれています。ですから事前に筆記対策で過去問などをやる場合は、7割とっておけばOKと考えて下さい。  ただこれはあくまでも目安であって、例えばNHKの場合は、筆記試験に面談の評定が加算されるなど、会社によっていろいろなケースがあります。
 それから、例えば朝日新聞社の春の採用試験の配点は論文が180点、英語を含む一般教養が210点といわれます。論文の配点が意外に高いと思われるでしょうが、実際はそれにとどまらず論文の得点が高いと総合点が合格ラインに達していなくても考慮されるなど、論文のウエイトはかなり高いと思って下さい。
 新聞記者の場合、筆記試験は面接をするための絞り込みの場と位置付けられているのですが、その際、論文によって見られるジャーナリストとしての資質に着目し、それがかなり高い人は、とりあえず筆記で落とさずに面接まではあげようという考え方があるのです。  これは他の新聞社でも、論文・作文については特別にウエイトを上げた配慮をするケースがあります。ですから、論・作文はかなり重要と思って下さい。
 それから筆記対策に欠かせない過去問ですが、毎年『新聞ダイジェスト』に掲載されています。それらをまとめて増刊にしたものが本屋さんの就職コーナーにあると思います。


Q) 筆記試験が迫っているのですが、直前に優先する勉強はなんでしょうか?

A) 一般的に言うと直前対策として皆がやるのは『新聞ダイジェスト』。それぞれ増刊号と銘打って直前対策の問題とか掲載してますし、過去半年分のバックナンバーを使って時事問題を整理するというのもよくやることです。『新聞ダイジェスト』は臨時増刊として「最新時事用語&問題」というのを発行しています。 『朝日キーワード』も時事用語の整理には役立つでしょう。それから漢字と一般常識の問題集なり参考書を1冊やってみてはどうでしょうか。出版志望の人はそのほかに芸能ネタなど雑学ふうの対策も必要です。
 また、マスコミでも最近は適性検査を行う会社が増えました。『マス読』を見て、受験する会社が適性検査を実施するとあらかじめわかっている場合は、その対策もしておいた方がよいでしょう。書店の就職コーナーへ行くとSPI対策本がいっぱい売ってますので、そのうちどれから1冊を選んでやっておいた方がよいと思います。


Q) 私は経済学部なのですが、広告の制作は専門技術や専門のアート系学部じゃないと受けれないのでしょうか?普通の文系学部では営業職しか就けないのでしょうか?

A) 月刊『創』3月号は広告界の大特集で、広告志望の人には絶対お勧めです。クリエイティブといわれる制作分野にも今大変革の波が押し寄せてますので知っておくべきでしょう。制作職は美大の人とかじゃないとなれないのかというと、そんなことありません。必要なのは企画力や発想力で、表現技術が問われるわけじゃありませんから。ただ制作を含む一般職と別に「デザイナー」とか「アート」という職種で美大を指定校制にして職種別採用を行っているケースもあります。


Q) 例えば出版社のエントリーシートで「最近読んだ本」とか「愛読書・愛雑誌」という質問にはその出版社の本を答えるべきなのでしょうか。 また、テレビ局で「最近見たテレビ番組」と聞かれたら、その放送局の番組を書くべきなのでしょうか。

A) 別にその出版社の本じゃなくて構いません。特に単行本の場合は。テレビで「最近見た番組で印象に残ったもの」という質問でしょうか。これも別に他局でも構わないと思います。もちろんその局の番組であればそれにこしたことはないでしょうが。
 ただ、この質問は別にして一般的に言えば受ける会社の雑誌や番組をきちんと見ておくというのは基本です。だって、見てもないのに志望動機は言えないでしょうから。


Q) 採用条件で、年齢制限にひっかかる所が多いのですが、無理に書類を送付しても、やはり選考外とされてしまうのでしょうか。特に年齢制限がない会社があれば、ぜひ教えていただきたいのですが。

A) 定期採用試験で年齢制限なしという会社はないと思います。新聞以外は大体の会社が入社時25~26才で線引します。応募資格は年齢制限と新卒・既卒と2つの条件で制限をかけるのが普通です。大手マスコミの場合は、応募資格は厳密に運用します。ただ中小で応募者数が数百人以下の会社は、多少ならば大目に見る会社もあります。一応トライしてみてはどうでしょうか。
 ただ年齢オーバーの受験者については、その理由、この間何をしてきたかなどきちんと説明できねばなりません。ただ年を食っているだけというのでは、当然不利になります。それをカバーする「何か」が必要なのです。


Q) 朝日新聞社と読売新聞社の筆記試験の日が同じですね。とにかく新聞記者になりたい私としては、少しでも競争率の低いほうを受けようと思うのですが、 結局、どちらのほうが受かりやすいのでしょうか。 教えてください。

A) 倍率の違いで志望先を選ぶのは基本的に間違っています。これでは筆記を通過しても面接の際「志望動機」をきちんと話せないでしょう。また倍率と試験の難易度とはこれまた違います。例えば局アナ試験は倍率だけは高いですが、かなりの応募者が「ためしに受ける」人で実質倍率はもっと低いのです。
 ちなみに朝日と読売について言えば、読売の方が志望意思を重視します。ペーパーテストの成績だけを見るなら朝日の方が難しいとはいえます。


Q) 某社から「繰り上げ内定」と電話連絡がありました。ようするに補欠要員ということです。就職活動はこのまま続けますが、何だか、いてもたってもいられません。過去に補欠で、内定をもらった人はいるんでしょうか?

A) 補欠内定は時々あります。内定辞退者が出る可能性はあると思うのですが、それで君に内定が出るかどうかは君が何番目の補欠かにもよるので、可能性については何ともいえません。
 ただ補欠はせいぜい2~3人しか出してないと思うので、可能性はあると考えて下さい。就職活動は続けた方がよいと思いますが、繰り上げ内定の可能性は決して低くないように思えます。


Q) 出版(編集)志望で動いています。文春でいうSPIとはどんなものなのでしょうか? 漢字やいわゆる出版社の一般常識というものは自分なりに対策してきたのですが、SPIに向けて特にやっておかなければならないというものはあるのでしょうか? それともう一点です。人物寸評の対策として、「話題の人物辞典」のような本や参考になるものは何かありますか?

A) SPIは幾つかのバージョンがあるようで会社によって多少違いはあるのですが、基本は同じです。対策としては市販のSPI対策本をやるということでしょう。「文春のSPI」といっても、SPI自体が外部の特定の会社(リクルート関連の会社)で作っているもので、基本的な考え方は同じです。
 人物寸評についてはこれも対策はこれといってないのですが、基本的にマスコミで話題になった人物が出題されるので、広い意味での時事対策をきちんとやっておけば、50人中20人はできると言われます。寸評は、単なる説明でなく(もちろんある程度は説明も必要ですが)、どう面白く批評するかもポイントです。


Q) マスコミの筆記試験の過去問はどうやって入手すればよいのでしょうか。NHKや大手新聞社以外でも市販されているのでしょうか。

A) 現在、市販されている過去問は『新聞ダイジェスト』の増刊号です。収録会社はNHKと新聞・通信社です。ただ例えばNHKは放送技術職が割愛されているなど完璧ではありません。理由は単純で公表されていないものは載ってないということです。
 で、そういう載ってない会社の過去問を入手するのはどうすればよいかというと、なかなか難しいというのが結論です。最低やるべきことは、『マス読』の場合、科目はもちろん、寸評や表現力テストなどの出題例も掲載しており、まずこれをきちんと読むことが大事です。ある程度の傾向がつかめれば過去問そのものを入手しなくとも対策をたてることは可能です。次に可能性があるのは昨年受験した先輩に聞く、という方法。ただもう忘れてしまっているかもしれませんが。それから社員に知り合いがいれば一応あたってもらうてもあります。
 例えば一時のマガジンハウスやフジテレビのように応募者に会社側が公表するケースもあります。ただ、多くの会社の場合、対応がめんどうなので「公表していません」という返事が返ってくるのがほとんどでしょう。


Q) 放送志望で、現在全国の地方局を回っています。ただ、行ったこともない土地の放送局を受験する場合、志望動機をどう言うか困っています。その局の番組もきちんと見た方がよいのでしょうか?

A) これ、なかなか難しいのですが、恐らく受験する地方局の制作番組をきちんと見てる人ってほとんどいないはずです。何かその局の番組が賞をとったとかいう場合は、できたら知っておいた方がいいでしょうが(知りたい場合は、テレビ専門誌をあたること。『GALAC』あたりが定番です)。  でも、それも知ってないからといった落とされることはまずありません(でもその地方局がどの系列かくらいは最低知っておくこと。『マス読』3巻に全部載ってますから)。ですから、キー局を受けた時の志望動機と基本的に同じでいいと思うんです。正直にキー局を受けて落ちたけれど、どうしてもテレビ局で仕事がしたいから、と言ってはどうでしょうか。ただその場合も、そのテレビの仕事がしたい理由はきちんと説明できないといけません。
 出身地の局の場合は、「小さい頃から親しんでましたし」とかもう少し説得力ある志望動機思いつくと思うので、考えた方がよいでしょう。


Q) マスコミの試験で会社によって論文を課すところと作文を課すところがありますが、両者の違いはどういうことなのでしょうか。

A) まず従来、作文と総称されていたものに、厳密にいうといろいろな形式があります。ひとつは論文で、これは特に論理的思考性をみるもの。新聞記事とは5W1Hの組み立てによって成り立っており、同じいい文章といっても文学表現とは趣が異なります。与えられたテーマについて、自分の意見を論理的に展開できるかどうか、それをみるのが論文。テーマも当然、それにそったものが出ます。一般的には時事的テーマが多いです。例えば「日の丸・君が代」「IT革命」等々。
 これに対して狭義の作文は、抽象的なテーマが多いですね。「空」「場」[家族」等々。一方、論文の対極にあるのが三題噺で、これは発想力を見るものです。新聞記者に必要な論理的思考性と、エンタテイメント系出版の編集者に要求される発想力とはちょうど対極にあると考えて下さい。
 ちょっと異例なのがNHKの「論述」。これは呼称は論文ふうですが、出題されるテーマは漢字1文字の抽象的なものが多い。テーマからいうと作文ですが、どうやらNHKの場合、報道を意識して選考も新聞社型なので、論理的思考性を一応念頭におくという意味合いで「論述」と呼んでいるようです。


Q) 面接の中で、「御社」や「貴社」、「私(わたくし)」や「存じます」、「申します」 という言葉(いわゆる謙譲語)を使ってますか??  マニュアル本ではそういう言葉使いをしないとダメだと書いてありますが、どうなんでしょうか。

A) よくマニュアル本を読むと、面接では「御社」と言わなければダメとか書いてますが、実際はそんなことありません。      
 一例をあげると、NHKの面接官が、御社云々と言ってる受験者に「君、そんな言い方でなくNHKと普通に言えばいいじゃないか」と言ったケースがありました。同局人事部の人は「御社」には批判的です。そういえば、NHKの場合は御社か御局かなどと妙な議論が以前ネットでやられていたことがありましたが。「NHK」と言えばいいんです。
 御社よりも不自然な場合があるのが「私」(わたくし)です。学生の場合は「僕」でいいと思うんですが、これもマニュアル本を読んで無理に練習までしてる人がいますが、普通でいいんですよ、こんなことは。わざわざ不慣れなことばを使うと質問に集中できないでしょう。「御社」とか「私」なんて言い方でなく、答え方や答えの中身が大事なんです、面接は。
 ただ時々、社会常識も知らない受験者もいて、「御社」の代わりに「弊社」と言ったり、手紙での「拝啓」「敬具」といった表現を間違える人がいますが、これは困ります。最低限の社会常識はもちろん知っておく必要があります。


Q) 論文対策として文章を書く練習をしたいのですが、お題は何がよいでしょう?

A) これは自分で考えるというより、とりあえず過去に出題されたテーマで書いてみてはどうでしょうか。例えば読売新聞の場合は論文のテーマは「津波」「ライブドア現象」「宇宙と平和」。朝日新聞は「日本が世界に誇れること」「仕事と倫理」「この国を生きる」でした。
 一般的に言えば、論文は作文よりも時事的なテーマが多く、そのテーマについての自分の意見をどう論理的に展開できるかをみるテストとされています。新聞社の場合、記者職は論文、営業職は作文が多いようです。
 ただ、前述した読売と朝日を比べてもわかるように、論文といっても、作文との違いがテーマで画然とわかるものでもないし、会社によってだいぶテイストの違いがあります。
 NHKの場合も論述という呼び方をしており、論理的かどうかを一応評定の際に留意することになっているのですが、これがまたNHK独特なのです。以前は漢字一文字のテーマが多く、作文との区別はつきがたいものでした。
 論文を課している主なマスコミで過去どういうテーマが出題されたかについては、『マスコミ就職読本』入門編や『新聞ダイジェスト』に過去何年分かがまとめられています。それらを参考にするのがよいのではないでしょうか。

 ちなみにあなたの質問では「文章を書く練習をしたい」とありましたが、できれば試験本番と同じように、与えられた時間と字数で与えられたテーマで書いてみる練習をしてください。いくら文章がうまくても、時間内に書き終わらなかったりすると致命的です。またできれば第三者、可能ならプロの記者なり編集者なりに批評してもらうことをお勧めします。自分で書いているだけではなかなか欠点がわからないからです。  いずれにせよ論作文は筆記試験の科目の中でも重要なものです。あなたの健闘をお祈りします。


Q) 専門学校在籍。情報処理の企業の内定はもらったものの、マスコミ業界をあきらめきれません。先生や親は何年後かに再挑戦すればいいとアドバイスしてくれますが、どうなのでしょうか?

A) 情報処理業界というのが具体的にどこなのか、またその会社でどういう職種に就くのかわからないので、何ともいえない部分はあるのですが、問題はその会社ないし業界からマスコミへの転職の可能性がどの程度あるかということでしょう。最近マスコミでも、コンピュータに詳しい人を特別に採用するということがあります。デジタル化やネットビジネスが進み、そういう人材の需要が増えているからです。
 一般的にいえば、マスコミも昔のような日本型終身雇用制は崩れ、転職が当たり前になっています。ですから、マスコミ業界内部でいえばまずどこかへ入社してキャリアと人脈を築き、転職を図るという方針は正しいのです。ただあなたの場合は、マスコミそのものでなく関連性のある業界に入社して転職を図るということですから、やや微妙です。
 でもあなたは、今のところマスコミの内定を得ていないので、選択肢としては内定をとった情報処理業界の会社へ行くか、就職浪人するかということなのでしょう。その2つのいずれかということであれば、内定を得た会社に就職して次のチャンスを待つという方が、浪人よりはよいかもしれません。


Q) 障害者ですが、履歴書で1字まちがっても不採用になることがありますか?

A) 一般的に言えば、1字の間違いだけで落とすというのはそう多くはないと思います。あまりに誤字脱字だらけの志望書は志望意思が強くないとみなされ、不合格になりますが、普通は1文字程度なら見逃されることの方が多いと思います。ただ問題は、その誤字が何なのかということであり、当然知っていなければならない文字を間違えたとなるとやや不利になります。報道志望なのに報道の文字を「報導」などと書いたり、誰でも知っているような漢字ができていないといったケースです。 履歴書というのは内容や書き方など様々なポイントを総合判定して合否を出すものです。あなたの場合、1文字できなかったために落とされたのかどうかはよくわかりません。

 それからこの質問をされた方は障害者ということですが、例えば色盲色弱といった場合はどの程度、受験において問題になるのかという問い合わせもよくあります。 率直に言ってこれは会社によって違うので、具体的なことは志望会社に問い合せた方がよいでしょう。出版社などでは、例えば色盲色弱の例で言えば、色を扱うデザイナーなどはダメだが、一般の編集者の場合は問題ないとか、事情が異なります。どの程度さしつかえるかは、障害の程度にもよるわけです。基本的なことは募集要項に書いてある場合もあるので、募集要項も注意して見直してみてください。


Q) テレビ局の試験を受けていますがどうもうまくいきません。あと3カ月くらいで民放キー局は決着がついてしまうので正直焦っています。今から面接対策を講じるとしたら何をやったらよいでしょうか?

A) テレビ局の場合、筆記試験もありますが、基本的に面接重視。しかもその面接対策としてはこれといった方法があるわけでなく、あなたが何をやりたいのか、どんな番組を作りたいのかきちんと言えるようにしておくことが大切です。当たり前のことのように思うでしょうが、実はこれが意外とできていないのです。  テレビ志望者にはかなりの数の憧れ受験の人たちがおり、まずその人たちをどう落とすかが採用担当者の仕事です。その際、採用側がよく言うのは、テレビが本当に好きな人に来てほしい、好きでよくテレビを見ている人に来てほしい、ということ。本来ならテレビが好きな人がテレビ局を受けにくるのが当然なのに、そうでなく「何となく」という気持ちで受験する人が実際には少なくないのです。

 さて自分ではテレビが好きだと思っていても、本当にそうなのか、どの程度のレベルが要求されるのかよくわからないという人もいるでしょう。そんな人へのアドバイスとして、以前「マス読ライブ」の講師を務め、日本テレビ制作部門の採用責任者だった佐藤孝吉さんはこう言っていました。
 本当にテレビ局に入りたいなら3か月間、テレビ漬けになってみろ、ビデオに録画して自分のめざすジャンルの番組を徹底的に見ろ、しかも何となく見るのでなくメモをとりながら見ろ、と。人気番組であれば、どうしてその番組が視聴者の支持を受けたのか、どこが他の番組と違うのか、メモをとりながら徹底的に考えながら見ろ、というのです。  これは実に重要なヒントで、実際トライしてみれば、今まで気づかなかったことがわかるようになるし、面接で訊かれることにきちんと答えられるようになります。  テレビ局を受ける人はテレビをきちんと見ること、出版社を受ける人は雑誌や本をきちんと読むこと。当たり前のように聞こえますが、これが実は大事なことなのです。


Q) レコード会社志望ですが、説明会など行っていないので不安です。大手レコード会社の倍率や選考基準を教えてください。

A) 確かにレコード会社の場合、独自の説明会を開催しているところは少ないのですが、リクナビや毎コミなどの合同説明会に加わっていることもあるし、「マスコミ就職読本ライブ」などレコード会社のセミナーを行っているケースもあります。今年度はavexなどすでにプレエントリーを締め切ってしまった会社もありますので、そのあたりよく調べてみてください。
 倍率や選考基準ですが、これも『マスコミ就職読本』第4巻「広告・エンタテイメント編」に詳しく載っています。例えばビクターエンタテインメントは昨年の場合、エントリーしたのが9000人で、実際の応募者は約3000人。内定は6人でした。応募倍率500倍ということですね。avexやソニーミュージックグループなど一部を除くと採用数は少なく、特に中途採用を増やして新卒採用を減らしている傾向もあります。
 学歴不問の会社が多く、選考も筆記試験のウエイトは小さく、面接重視です。当然ながら音楽が好きだという人がたくさん受験しますので、志望理由などきちんと言えることが必要です。具体的にどういう科目でどういう試験を行っているかは、前記『マスコミ就職読本』に主なレコード会社の試験内容がほとんど載っていますので、ぜひご覧ください。


Q) 新聞社の試験で効率のよい英語対策はないでしょうか?

A) 残念ながらそれほど効率のよい英語対策というのはありません。むしろ英語というのは最も付け焼刃がきかない科目です。  ですから論作文と一般常識試験の対策はみな行いますが、英語はこれといって試験対策を講じない人も多いようです。もし直前に強いてやるとしたら何かといえば、時事英語対策でしょうか。新聞などで話題になっている問題について英文和訳などの出題がなされた場合、時事的な言葉が英語でどう表現されるのかわかるようにしておくということです。
 実のところ英語力は、外語大などは別にして、大半の大学生の場合、大学受験の時の力とあまり変わらないと言われます。偏差値の高い大学の学生が比較的高得点をとってしまうのです。そのこともあって、この10年ほどの流れとしては、あまり英語の配点を高くしないというのが一般的傾向です。通信社などの場合は、英語のほかに選択外国語を設け、特に語学に強い人は、それなりに評価しようとしていますが、それ以外の一般の受験者については、英語の配点を抑え目にしていると言ってよいでしょう。
 スポーツ新聞でも時々、面接などで英会話のテストを、それもネイティブスピーカーを面接官にして行うことがありますが、これも簡単な質問ですし、あまり気にしすぎる必要はないでしょう。


Q) 2008年は4月6日に新聞各社とNHKの筆記試験が重なったようです。筆記試験だけでなく面接の日程が複数社で重なるケースも多いと思いますが、こういう場合はどう対応したらよいでしょうか。

A) 確かに4月の第一日曜日は新聞とNHK志望者にとっては天王山で、毎年、各社の試験がぶつかります。ただ、長年の慣習から、NHKは午前中に試験が終わり、その足で駆け付けると読売新聞社や朝日新聞社は受験できるようになっていると思います。ではNHKと共同通信社はどうかとか、いろいろな組合せがあると思うので、試験時間を確認のうえ行動スケジュールをたててください。
 面接がぶつかった時の対処法ですが、時間が重なっていることがわかった時点でどちらかをあきらめてしまう人が多いのですが、採用側は意外と対応してくれる場合もあります。ただこれは会社によって考え方も違うし、実際は対応してくれる会社でも、それをあまりオープンにすると際限なく時間変更の依頼がくる恐れがあるので、「原則として日程や時間変更は認めない」という言い方をしているケースもあります。  これも、片方の受験をあきらめるくらいなら、その会社に一応、時間変更はできないのかあたってみることをお勧めします。大体志望順位の低い会社の方に日程変更を申し出るのが普通なので、申し出た時点でややマイナスの印象になることは否めませんが、最初からあきらめて試験を欠席してしまうよりはましだと言えます。
 なお、1日に複数社の面接をはしごしようとする場合、なかには面接予定がおしてしまい、会場に行ってからすごく待たされるケースもあります。そういう場合にどう対処したらよいかも、考えておくことをお勧めします。


Q) 新聞社の試験などで筆記が通り、最終面接で落ちました。気持ちは前面に出しているのですがなかなか面接で通過するのが難しいのです。秋採用や来年も受験を考えています。ただ、面接で落ちたところは、もう受けるのが厳しいのでしょうか?最終で落ちたところはもう会社に合わないと思われているのか悩んでおります。

A) 落ちた理由が問題ではありますが、一般的に言えば採用数の枠があって最終落ちというのはそこに入れず次点で敗退したと考えてよいでしょう。ですから、むしろ最終まで行ったというのは、自分の力がある程度備わっていることが証明されたことだと考えてください。
 実際、新聞社の場合は、春採用で落ちても秋採用で合格する人は珍しくありません。それに最終選考まで行った場合は、合格した人と落ちた人の差は一般に思われている以上に僅差であることが多いのです。経験的に言えば、春採用で最終選考あたりまで行った人は、その後も志望を持ち続ければどこかに合格する方が普通です。つまり実力さえあれば大体道は開けると考えて下さい。
 もちろん僅差で最終落ちを繰り返す人もいるので敗因の分析は必要ですが、むしろあなたの場合は、あきらめずに秋採用にチャレンジすべきケースでしょう。


Q) 現在大学院修士課程1年です。今年いっぱいで研究が一区切りつくこともあり、秋採用を受けて少しでも早く働きたいと思っています。ただ準備が万端でない事もあり、春まで待った方がいいか悩んでます。特に秋採用で落ちた場合次の春採用で不利になるのでしょうか。

A) 秋採用を受けるべきか来年春まで待った方がよいかというお問い合わせですが、これは文句なしに秋採用を受けるべきでしょう。試験で落ちたことで次回に不利になることはないし、来年春に賭けるにしても、そのための力試しとしても一度試験を経験しておくべきでしょう。
 そもそも新聞社などの入社試験は学歴不問を掲げている場合も多く、来年度の卒業見込み者でなくとも力試しで受験している人もいます。自分がどのくらい合格圏内に近いのか確かめるためにも一度試験を受けてみてください。筆記で落ちた場合は、自分が何割くらいとれたかチェックすれば(合格点は大体6~7割です)、これからどのくらい頑張らねばならないのか目安になります。
 また筆記を突破した場合も、何次選考まで進んだかによって自分の力を測ることができます。来年春まで待って一発勝負する必要は何もありません。もちろんそれは程度問題で、どう考えても初戦敗退確実で箸にも棒にも…という場合は受けるだけ時間の無駄かもしれません。ただ、秋採用までにはまだ少しだけ準備期間もありますから、今からトライする価値はおおいにあります。逆に言えば、そういう準備やトライアルを経てこそ、来年春の合格可能性も高くなるのだと言えましょう。



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